1. イントロダクション
近年、コンサルティングファームで一定の経験を積んだ方や、事業会社等で特定領域の経験が豊富な方等のネクストキャリアとして、フリーランスのコンサルタントという働き方が注目されています。これは、コンサルティングファームのような大規模な組織に所属せず、個人事業主として独立してクライアントにコンサルティングサービスを提供する専門家の新しい働き方です。本記事では、フリーランスのコンサルタントとは何か、どのような分野で需要が大きいのか、どのように案件を獲得するのか等について詳しく解説します。
2. フリーランスのコンサルタントとは?
フリーランスのコンサルタントは、一般的には、コンサルティングファームのようにチームを編成せず、個人事業主として単独でクライアントにコンサルティングサービスを提供する専門家です。「コンサルティングファームのコンサルタント」と「フリーランスのコンサルタント」の主な違いとして、「雇用主の違い」と「ビジネス構造の違い」が挙げられます。
2.1 雇用主の違い
コンサルティングファーム:
コンサルタントはファームの従業員として雇用され、給与や福利厚生を受けます。ファームがクライアントとコンサルティング契約を締結し、所属するコンサルタントでチームを構成してコンサルティングサービスをクライアントに提供します。
フリーランスのコンサルタント:
フリーランスのコンサルタントは、基本的には個人事業主として活動します。クライアントとのコンサルティング契約は、フリーランス自身と締結され、自身がプロジェクトの責任者となります。
2.2 ビジネス構造の違い
コンサルティングファーム:
ファームは多くのリソースとインフラを持つ大規模な組織です。彼らはクライアントに包括的なサービスを提供し、プロジェクト管理、リサーチ、データ分析、専門家のアクセスなど、様々な支援を提供します。ファームの組織構造により、コンサルタントはプロジェクトに専念できます。
フリーランスのコンサルタント:
フリーランスのコンサルタントは、個人事業主として独立しているため、自身で経営機能を構築しなければなりません。これには営業、プロジェクト管理、請求書作成、税金処理、保険など、ビジネス運営に関わる全ての側面が含まれ、自身のリソースに依存します。
要するに、フリーランスのコンサルタントは、自身でビジネス構造を構築し、プロジェクト契約を個人単位で受けるため、自己マネジメントとビジネス運営のスキルが必要です。この点がコンサルティングファームでの雇用との主な違いとなります。
3. フリーランスのコンサルが多く活躍する分野の例
以下は、フリーランスのコンサルタントが多く活躍する分野の一部です。これらの分野は需要が高く、スキルを提供できる専門家にとって魅力的です。
- SAPコンサルタント:
企業のSAP導入の支援や、SAPモジュールごとの専門知識を提供します。 - デジタル戦略コンサルタント:
DX(デジタルトランスフォーメーション)、デジタルマーケティング、データアナリティクスなど、デジタル関連の戦略アドバイスを提供します。企業だけでなく、行政の需要も旺盛です。 - プロジェクトマネージャー:
システム導入プロジェクトなどの大規模で長期間のプロジェクトで必要とされます。コンサルタントはPMO(Project Management Office)の支援として参画する案件が多いことが一般的です。 - 戦略コンサルタント:
産業ごとの戦略、市場展望、競争戦略に関するアドバイスを提供し、クライアントの競争力を向上させます。 - 組織開発コンサルタント:
組織の構造改革、人材開発、リーダーシップトレーニングなど、組織に関するアドバイスを提供します。 - データ分析コンサルタント:
データ分析、ビジネスインテリジェンス、予測分析に関する専門知識を提供し、データ駆動の意思決定を支援します。
4. 最も重要な論点は会社の看板無しでどのように案件を獲得するか
フリーランスのコンサルタントとして成功するためには、自分で案件を獲得できなければなりません。新規クライアントの探索には、案件紹介サービスの活用が最適です。また、既存クライアントからの継続案件や紹介も重要な案件獲得の手段となります。ここでは、案件紹介サービスに焦点を当てて、活用するメリットと注意点を説明します。
4.1 案件紹介サービスの活用のメリット
- 提案機会が豊富:多くの企業がプラットフォーム上で案件情報を掲載しています。すでにコンサルティングのニーズがある企業にアクセスしやすくなるため、提案機会が豊富にあるといえます。
- 効率的なマッチング:案件紹介サービスに自身の経歴やスキル、実績を登録しておくことで、プラットフォーム上で課題を抱える企業とマッチングしてもらえる可能性があります。
4.2 案件紹介サービスの活用の注意点
- 手数料とコスト:サービス利用には手数料がかかる場合があります。これらのコストを考慮し、適切なプラットフォームを選択しましょう。
- 競争の激化:多くのフリーランスコンサルタントが同じプラットフォームを利用しているため、競争は当然発生します。価値競争力だけではなく、スキルと実績を強調することが必要です。
5. 独立体験談
ここでは、フリーランスのコンサルタントとして独立する際のイメージを膨らませるために、大手コンサルティングファームから独立したAさんの事例をもとに、「独立の経緯」、「独立に際し躓いたこと」、「どのように対処したか」、「その結果どうなったか」を見ていきましょう。
5.1 独立の経緯
Aさんは、大手コンサルティングファームのIT/テクノロジーチームに在籍しており、大手企業向けの大規模ERP導入案件や、IT戦略策定案件の経験が豊富でした。
Aさんは、特にSAP導入の需要が旺盛であることと、SAP導入の一連の流れは経験済みで、一定程度自分一人でも案件を回せる自信がついていたことを踏まえ、裁量を持って働くことができ、報酬水準も現職以上が見込めるSAPコンサルタントとして独立しました。
5.2 独立に際し躓いたこと
Aさんが最初に直面した課題は、案件獲得でした。SAP導入の需要は旺盛ではありますが、大手コンサルティングファームの看板無しで案件を獲得することは簡単ではありませんでした。また、経理業務や税金関連のバックオフィス機能の知識も必要で、これらの分野で学びながら進んでいかなければなりませんでした。
5.3 どのように対処したか
Aさんは、案件紹介サービスを活用し、経歴と前職での案件実績の記載を充実させました。また、ネットワーキングを積極的に行い、業界内のコネクションを築きました。バックオフィス機能に関しては、税理士等の専門家のアドバイスやアウトソース活用して対処しました。
5.4 その結果どうなったか
Aさんは、案件紹介サービス経由で獲得したSAP導入プロジェクトベースに、同じクライアントからの継続案件を受注しました。また、これを通じてフリーランスのコンサルタントとしての信頼と実績を構築できました。収入も大手ファーム時代より増加し、自由な働き方を楽しんでいます。
6. 結論・まとめ
大手コンサルティングファームからフリーランスのコンサルタントになることは、裁量を持った働き方ができることや収入面の魅力的な点がある一方、安定性や会社機能全てを自身で行う必要がある等の厳しい側面も存在します。独立を検討している方は、慎重な準備と情報収集を行い、自身のスキルと実績を活かして新たなキャリアを築いてみることを検討してみてください。