コンサルティングファームから独立してフリーコンサルになる際の注意点5選!

全般

1. イントロダクション

コンサルティングファームでの経験を積んだコンサルタントが、独立してフリーコンサルタントとしての道を歩むことは、裁量や働き方、収入等の多くの面で魅力的な選択肢です。しかし、その道のりは決して簡単ではありません。本記事では、コンサルティングファーム在籍者を対象に、独立の際に注意すべきポイントを5つご紹介します。

2. フリーランスコンサルタントの仕事の全体像・流れ

フリーランスのコンサルタントの仕事は、提案~案件終了後の継続提案までのプロジェクトライフサイクルに沿ったものと、それ以外のバックオフィス等の会社機能があります。前者のプロジェクトライフサイクルは以下の段階から成り立っています。

提案活動:
プロジェクト獲得の最初のステップとして、クライアントに提案を行います。提案はプロジェクトのスコープ、目的、コスト、期間などを明確にし、クライアントに提供価値を説明します。

契約締結:
クライアントが提案を受け入れると、契約が締結されます。契約にはプロジェクトの詳細、報酬、納品物、期限などが含まれます。

デリバリー(案件実行):
契約が締結されると、実際のプロジェクトが開始されます。コンサルタントはプロジェクトの要件を満たすために作業を進め、クライアントに価値を提供します。

継続提案:
プロジェクト終了後も課題が残っている場合や、プロジェクト中に周辺領域の課題を検出した場合などは、クライアントに継続提案を行い、新たなプロジェクトの機会を追求します。これにより、継続的な仕事の確保が可能となります。

このプロジェクトライフサイクルのすべてをフリーランスのコンサルタントは自分自身で行うことになります。また、この他にバックオフィス機能も自身で、もしくは専門家へのアウトソース等を活用して対応することとなります。

3. フリーランスのコンサルタントになる際の注意点5選と対処法

3.1. 注意点①:クライアントリレーションの構築

3.1.1. ポイント1: 既存クライアントの活用

独立してフリーランスのコンサルタントとして成功するためには、クライアントとの良好な関係性の構築が重要です。最初のステップとして、例えばファーム在籍時に懇意にしていただいたクライアントの担当者に独立した旨を報告し、つてを通じて案件につなげる等、既存の信頼関係を活かした案件獲得の可能性を探ります。
※ファーム在籍時のクライアントに直接提案活動をすることは競業避止義務違反になる可能性があるため、十分注意してください。

3.1.2. ポイント2: 新規クライアントの獲得

新たなクライアントを獲得するためには、マーケティングやネットワーキングに加え、特に案件紹介サービスの活用が有効です。すでにコンサルティングのニーズがある企業とマッチングできる可能性が高く、提案機会の確保が可能です。

3.2. 注意点②:収入の不確実性

3.2.1. ポイント1: 資金計画の重要性

フリーランスのコンサルタントは収入が不確実であるため、適切な資金計画が必要です。緊急の出費やプロジェクトの収入変動に備え、予備資金を確保する計画を立てましょう。

3.2.2. ポイント2: 収益多角化

収入の不確実性に対処するために、収益多角化戦略を検討しましょう。異なるクライアントからの収益源や、プロジェクトと並行して収益を得る方法を模索します。

3.3. 注意点③:法務・税務問題

3.3.1. ポイント1: 法務面の知識が必要

フリーランスのコンサルタントは、自身でクライアントとのコンサルティング契約や秘密保持契約等を締結する必要があります。過度に自身に不利な契約とならないよう、契約書をチェックできる最低限の法務知識が必要です。必要に応じて弁護士のアドバイスを受ける等を検討しましょう。

3.3.2. ポイント2: 税務計画

税務計画は重要です。税金の計画と申告に関する知識が必要です。税理士からの専門的なアドバイスを受け、適切な税務戦略を確立しましょう。

3.4. 注意点④:マーケティングとセルフプロモーション

3.4.1. ポイント1: ブランディングとネットワーキング

セルフプロモーションとマーケティングは成功の鍵です。自己ブランディングを強化し、業界ネットワークを構築することが、新規クライアントを獲得するのに役立ちます。プロフェッショナルなウェブサイトやSNSプロファイルを作成し、実績やスキルを強調することで、信頼性と専門性をアピールできます。また、業界のカンファレンスやセミナーに参加し、関係を築く機会を活用しましょう。

3.4.2. ポイント2: マーケティング戦略の立案

効果的なマーケティング戦略は、ビジネスの成功に不可欠です。ターゲットを明確にし、競合分析を行い、メッセージングと広告キャンペーンを最適化しましょう。効果的なデジタルマーケティングやコンテンツ戦略の採用は、新規クライアントの獲得に寄与します。

3.5. 注意点⑤:スキルの維持とアップデート

3.5.1. ポイント1: 継続的な学習

業界での競争力を維持するために、スキルの維持とアップデートが不可欠です。専門的なトレーニングや認証プログラムに参加し、最新の業界トレンドに追随しましょう。また、専門家とのネットワーキングを通じて知識を共有し、新たな機会を見つけることができます。コンサルティングファーム在籍時は、専門チームからのナレッジ共有や研修等でキャッチアップできたかもしれませんが、独立後は自身でキャッチアップする必要があります。

4. 独立体験談

4.1. Aさんの独立体験談

独立の経緯
Aさんは大手戦略コンサルファームでの長年の経験を活かし、フリーランスの戦略コンサルタントとしての道を歩むことを決意しました。Aさんはファーム在籍時のクライアントとの関係を活用し、最初のプロジェクトを手に入れましたが、困難もあったようです。

独立後つまずいた点
最初の困難は、継続的な案件の獲得ができなかったことでした。戦略コンサルティング案件は短期間なものが多く、その分提案活動のリソースも必要になります。最初の案件に続く案件がすぐには獲得できず、収入が不安定な時期が発生しました。また、契約書等の法務面や税務についても知識が不足しており、これらのキャッチアップにもリソースがとられていました。

どのように対処したか
Aさんは案件紹介サービスを活用し、戦略コンサルティング案件の提案を継続的に行いました。また業界イベントやコミュニティに積極的に参加し、新規クライアントとの接点をもつ努力を怠りませんでした。また、法務面や税務については専門家のアドバイスやアウトソースを活用し、リソースは本業に集約させました。これにより、Aさんは新しいクライアントを獲得し、安定したビジネスを構築することができました。

4.2. Bさんの独立体験談

独立の経緯
Bさんは大手総合コンサルファームでのIT/オペレーション領域の経験を活かし、フリーランスの業務改善コンサルタントとしての道を歩むことを選びました。

独立後つまずいた点
独立後、Bさんは新規クライアントの獲得に成功しましたが、プロジェクトの進め方について、ファーム在籍時との差に困惑していました。ファーム在籍時は、複数名のチームでデリバリーし、適宜上位者にレビューをもらったり、スタッフ間で分担したりしながらタスクを遂行できます。しかし、独立後は自分一人でタスクを遂行する必要があるため、作業負荷が高くなっていたのです。

どのように対処したか
Bさんは、まずは案件とは関係ないバックオフィス業務等はアウトソースし、作業時間の確保に努めました。また、状況をクライアントに適切に伝え、スコープ調整を行うことや、優先順位を合意することで、作業負荷を適正化しました。

5. 結論

コンサルティングファームから独立してフリーコンサルタントになる決断は、大きなステップですが、成功するためには戦略、実績、スキル、知識、入念な計画と準備が必要です。フリーランスのコンサルタントの道に進むことで、自己決定権と自由なスケジュール、高い報酬を手に入れることができますが、同時に新たな困難も待ち受けています。クライアントリレーションの構築や収入の不確実性への対処、法務・税務等のバックオフィス業務への対応等、やるべきことは多岐にわたります。そのため、適切な専門家によるアドバイスやアウトソースの活用、また、安定的に案件を獲得するための案件紹介サービスを積極的に活用が、フリーランスのコンサルタントとして成功するためには必要だと考えられます。

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